整体器具パーカッションハンマーとは

 

 伝説のオステオパス、ロバート・C・フルフォード博士によって一躍有名になった治療補助器具。

 

 彼曰く「同じことは手でもできるが力が要るんだよ」

 体力と時間の節約の為に工夫した道具だが、それを証明するかのように博士は極めて長期間、治療家として活躍し、かつ90歳超の天寿を全うされた。

 このような事実からも興味を持つ施術家が多いのだろう。

 

 また、どんな動きをするのか動画で紹介されている親切な方もいるし、メンテナンスの方法も微に入り細を穿つような丁寧な説明を試みている方もいらっしゃる。まことにネット時代の有り難さを実感する。

 

 さて、私はまた違った観点でこの器具の特長を説明し、少しでも読者に資することがあれば、日頃多くの情報をネットからも得ている者としての責務を一分でも果たしたことなるのではないだろうか・・・そんな思いで拙文を供する次第である。

 

特長1

 縦(上下)の振動。

 我々がお馴染みのマッサージバイブレーションは偏心性振動といって横の動きが入っている。市販のバイブレーターを使ったことがある方ならご存知かと思う。

 上下振動のみで一分間に最高4千回の振動数があるものを当てたことがある人は少ないに違いない。

 (日本製の治療器具でもないことはないが)

 上下振動であることがパーカッション・ハンマーと通称される所以である。

 

 参考までに他サイトに振動する様子を動画でアップしてあったので、URLを貼りつけておく。

他サイトへのリンク

http://percussion-hammer.jimdo.com/%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%BC%E4%BD%BF%E7%94%A8%E6%96%B9%E6%B3%95/

 

特長2

 頑丈。

 初期不良を乗り越えれば、シャフトのメンテナンスは必要なものの本体はほぼ一生モノかと思われる。もともと彫金用のモーターらしく、ヤワなものじゃ使い物にならないことを前提に作られているからだろう。

 そのかわり本体+シャフトの重量が5キロ近くあって、小型のキャスター付きカバンでなければ女性には持ち運びがキツイかもしれない。キャスターさえ付いていれば市販のカバンで充分ではあるが。

 (サロンで使う分には全く問題ない大きさと重さである)

 

特長3

 治療器具としては比較的安価。

 円高の影響もあり、輸入代行手数料と関税、送料を含め今なら10万円以下で確実に手に入ると思う。(現在は円安なのでこの金額では無理)

 施術家の手足に等しいくらいこれから使っていくつもりなら、安いものだ。美容師さんが使うハサミが一丁20万円以上することを考えてみれば分かるだろう。

 

使い方

 要点は二つある。

 一つは言わずと知れたどこに当てるか?という問題。

 もう一つは一分間に100回から4000回の振動数を調整できるが、どこに合わせるか?という、問題。

※(日本の100ボルト電圧で換算した場合の理論値である)

 

 この問題をクリアしなければ宝の持ち腐れだと思う。

 事実、せっかく購入したのにホコリをかぶったままの状態の治療院もあると聞く。(全く勿体無い!)

 

①どこに当てるか?

 もともと「エネルギーブロック」「組織拘束」の概念を用いて使用している補助器具なので、まさにそこに当てれば良いわけだ。

 しかし、それがどこなのか?という問題が依然残る。

 筋筋膜上のトリガーポイントは体系化されているので、これは分かりやすいと思う。問題は骨膜、関節包、靭帯の各所にできる組織拘束だろう。

 むしろ筋筋膜は手による押圧のほうが手っ取り早いわけで、この器具の威力が発揮できるのは骨膜、関節包、靭帯といった手では非常にやりにくい、まさに力が要るような部位である。

 

 具体的にいえば骨折の痕、靭帯損傷の既往歴箇所、捻挫、打撲の古傷などである。これはよく問診して確かめるより他ない。しかし、それが分かったなら施術の非常に大きな手がかりとなる。

 今まで、そこにある拘束、ブロックに対して、為す術がなかった事例に対してアプローチできる、ということだけでもこの器具を購入する価値があるかもしれない。

 

 施術者の大半は骨折痕、靭帯損傷、捻挫、打撲の古傷の組織拘束を除去するのに苦労しているのではなかろうか。

 

②振動数の調整

 人間の身体には固有の振動数というものがある。そしてそれは病的な状態で変化する。

 

 例えば昔、私のスタッフが膝を悪くしていた。たまたま弔事に出る機会があって、その席上、お坊さんの叩く木魚の音に傷めていた膝が反応して、そのリズムどおりにズキンズキンとした感覚を得たそうな。

 これはまさに木魚の音の振動数と傷めた膝関節が共鳴、共振した結果である。(興味深かったので当時ブログに書いたことがある)

 

 であるから、刺激量を高めたいからと言って、闇雲に振動数を上げれば良いというものではない。

 

 最初のメモリを除いて、MAXまで10のメモリが割り振られている。そのうち実用レベルで使うのは5~7くらいまであろうか。 理論数値では一分間2000回~3000回ということになる。 例外はあるけれども、この振動数の中に固有振動数と共振効果のある振動数があるはずである。

 

 これをどう見つけるか?

 手技法自体が感性の世界であるから、この部分も感性としか言い様がない。

 しかし、明らかに吸収されない高振動数というものは誰でも分かるし、ほとんど影響を与えないと思われる低振動数も分かるはずだ。これらの範囲の中で次第に絞っていけば最適振動数に辿りつける。

 

 要は病変部位には固有振動数というものがあって、それに共振、共鳴するように合わせていくという概念を持っているかどうかである。この考えさえ頭に入っていればこの問題については早晩解決する。

 

まとめ 

 いずれにしてもある種の施術家にとって非常に役立つ器具ではないかと思う。治療系の施術家として割り切っていれば、健康でさえあれば70歳でも80歳でも、或いはフルフォード博士のように90歳でも治療の仕事を可能にしてくれる。

 また、自身の体力など節約する必要もない若くて頑丈な施術家でも、本文にて挙げた骨折痕等へのアプローチ にはほとほと手を焼くはずである。それがあっさりと解決できるとあれば採用するに如くはないだろう。


※当塾のオプション講座ーフット・マニピュレーション講座では、この器具か、もしくは同等の器具を使用することを前提として、組み立てられている。

 

参照→パーカッション・ハンマーを使った症例

 

参照→反射活動の同期について