整体療法三原則

 言葉を変えれば、整体師の心得三ヶ条と言えるかもしれません。この三つの原則を知っているだけで、整体師としての将来が全く違ったものになります。人を癒すことを目指す方は是非、心に留めておいてほしいと思いましたので老婆心ながら述べておくことにしました

 

第一原則-力を込めるな!深く入れよ!

 

 原因の所在(問題箇所)は表層よりも深層部にあることが多く、症状を改善させようとする施術者はより深部に到達する施術を行わねばなりません。 しかし、よく誤解されます。深く入れるためには「力」が要るだろう、と。話は逆で、深く入れようとすればするほど、「力」は要らないのです。


 どうして深部に到達する施術は力が要らないのか?
「力」を入れてしまうと、筋防衛反応が起きて硬くなるからに他なりません。


 これを古典的な言い方で「ツボが閉じる」とか「ツボが開いてくれない」という表現になるのですが、表現はどうあれ、人間の身体は「力」に対して防御する性質があるわけです。そして病者ほど、筋防衛が起きやすく「力」に対して警戒する体質になっています。


 逆にいうと、凝ってはいるけれども病者ではない健康な人は筋防衛反応が起きづらく筋肉をほぐすことが要求されてしまうのです。そしてその筋肉をほぐすことを主眼にする慰安系では、お客の好みというものがありますから、その要求がエスカレートしていくことによって、強揉みが生まれ、結局、慰安系のほうが「力」が必要になってくるという逆説的な現象を理解している人は専門家でも多くはありません。


 筋肉というのは深部到達の結果としてほぐれていくものであって、ほぐそうとするとかえって硬くなり要求がエスカレートするという、そういう性質があることは是非理解して頂きたいと思います。


 ですから、古人は漸増圧を教えているのですが、現実にそれを実行している施術者は圧倒的に少なく、故に手技そのものに治病効果があるなどと思われなくなってしまいました。これは大変残念なことですが、これを知り、実行することによって、医療的施術が行うことができ、かつ自身の身体の疲弊を防ぐことができるのですから、是非心に留めてほしい第一の原則となるわけです。

 

※詳しくはこのページ後覧ー施術のコツを参照してください

 

第二原則-まずは痛みを取れ!

 

 東洋医学ー標治の原則。整体療法の中でこれを忘れては意味がありません。
 理屈をいう前にこれが出来るかどうか。
 結局、整体療法の最大の価値はそこにあるわけです。


 人というのは、痛みや症状を取ってくれて始めて聞く耳を持ちます。日常生活の指導や、運動の効用など医者のいうことさえ聞かない人が多いというのに、痛みも症状も取ってくれない整体師のいうことなど誰が聞くものですか。


 ウデを磨くよりもトークを磨くのに熱心な施術者がおります。それも芸のうちかもしれませんが、王道ではありません。などと今でこそこんなエラソーなことを言っていますが、私もまた治せない整体師の一人でした。長いこと苦しみましたね。


 最初の頃、改善率は3割くらいしかなかったんじゃないでしょうか。 これではあまりにも厳しい・・・モロに慰安系施術者です。『この仕事は自分に向いてないな・・辞めようか』とさえ思いましたから。


 施術の仕方を教えてくれる所はいくらでもあるんです。
「犬も歩けば整体学校に当たる」というくらい多いでしょ。


 ところが、具体的な症状を具体的に治す方法を教えてくれるところはないんです。ホントにないのですよ。


 じゃ、自分で研究しようということで、様々な本を買い込む。ところがこれもまた大変。言葉としての意味は分かっても、実践的な意味が分からない。結局、自分で実践し続けて『あっそうか!』とピンとくるまで何年も何十年もかかります。


 ここに人から習うという意義があるわけです。
 人生で一番重要な時間の節約。
 お金は時間があれば稼げますから。でもその肝心の時間を無駄にしていたら・・・いうまでもないことです。


私はこの治療体系を修得するのに十年という時間を費やしてしまいました。経験があって尚、それくらいかかるわけですよ。素人からなら一体何年かかるものか・・・


 もし、若いころ私のような施術者が主宰しているスクールがあったなら、迷わず入校していたでしょう。 何十年分の節約です。お金に換算すればいくらになるでしょうか。


 東洋医学の単純な原則。
「標を先とせよ」(まず痛みを取れ!)
 これとて、言葉では知っていたわけです。


 でも、どうしたらできるの?


 自分に出来ないことというのは、さして重要ではない、と思い込こもうとする性質があるようですね、人間というのは。
 ホントの意義と深い意味に気付くのは自分でできるようになってからです。


 クライアントの立場からすれば、当然ですよね。
 本音を言えば(まずは痛みをとってくれ!話はそれからだ!)
ということになりますもの。


 こういう本音に耳を塞ぎながら施術していくのは辛いですよ。
 結局、慰安系施術者の平均就業期間が3年と言われているのは、治せない辛さに耐えられなくなるからなんですね。


 バーン・アウト症候群。(燃え尽き症候群)
 よく分かります。


 このHPの様々なページで様々な表現を使って説明しようとしていることが"治せる”ということの重要性です。最終的には確率になるわけですが、最低でも7割の改善率がないと話になりません。このことは是非覚えておいてほしいのです。

 

第三原則-施術を引き摺るな!

 

 生真面目な整体師に多いのですが、中々改善しないクライアントのことを気にし過ぎて、気持ちが引き摺られてしまうことがあります。これは施術家の心身を疲弊させ、ダメージを受けてしまう最大の要因なのです。


 第二原則"まずは痛みを取れ”と矛盾するかのようですが、決してそんなことはありません。


「人事を尽くして天命を待つ」という言葉がありますが、整体療法というのは、クライアントの持つ自己治癒力を最大限に引っ張り出すことによって治癒に導く方法論です。


 ですから、まずは痛みを取るべく人事を尽くすわけですが、治癒力の発動を期待するとき、諸条件による個人差というものを考慮に入れねばなりません。 個人差ばかりは天命の部分ですから、コントロールできないのです。


 もちろん、技量不足によってそうなってしまうこともあるわけですが、技量が十分であっても、その場で百%改善ということにはなりません。


 己の技量を過大評価することなく、かといって過小評価することなく、やるべき事を心を込めて真剣にやったならば、平常心で天命を待つ心持ちにならねばなりません。
 これが長く施術業を続ける秘訣です。


 

 

整体の第一歩=施術のコツについて

 施術のコツは力を抜くことだと言われていますが、そもそも「力を抜く」とはどういうことか?

 

 力を発生させる為には筋肉が必要ですね。つまり、我々人間が発する物理的な“力”は全て筋肉によって生み出されているわけです。
 そしてその筋肉は関節を曲げたり伸ばしたりするときに使われ、この関節の曲げ伸ばしこそが“力”の源泉です。つまり「筋力が強い」というのは関節の曲げ伸ばしが強いということに他なりません。

 

 そうすると、筋肉には大まかに二つの種類があることが分かります。
 関節を“伸展”させるときに使われる筋肉と、関節を“屈曲”させるときに使われる筋肉です。


 伸展させる筋肉を伸筋系と呼び、屈曲させるときに使われる筋肉を屈筋系と呼びます(実際、そのものズバリ筋肉名に“~伸筋”とか“~屈筋”とか名付けれている場合もある)


 例えば肘を例にとってみましょう。


 肘を曲げるには主に上腕二頭筋という筋肉が活躍します。別名ポパイの筋肉として有名です。所謂「力こぶ」として触知できますね。文字どおり力を誇示するときにこの力こぶを作りますから、お馴染みのものだと思います。
 それに対して、肘を伸ばすとき主に活躍する筋肉は上腕二頭筋のちょうど裏側にある上腕三頭筋と呼ばれる筋肉です。


 ただし、上腕二頭筋と違って、肘を伸ばすという動作には力感を伴いません。つまり、上腕三頭筋を使うときには力を入れている感じがしないわけです。

 

 そこで、非常に有名な実験があります。
 皆さんも一度くらいは見聞き、あるいは実際にやったことがあるかもしれません。


 立った状態で腕を水平に伸ばして、手の甲を同じく立っている誰かの肩に置きます。そうしておいてまた別の誰かに肘関節を曲げる方向(下方向)に負荷をかけてもらいます。
 そのときに「肘を曲げられないように全力で抵抗してください」と指示され、その通り肘に力を入れて抵抗しようとすると、あっさりと肘が曲げられてしまうわけです。


 次に「今度は力を入れず、腕に一本の気の道筋があってその道筋に気が通っていると思ってください」と指示されます。
(指先から光線が出ているとイメージしてくださいと言われる場合もあります)
 そうしておいて、先程と同じように第三者に肘を曲げる方向に負荷をかけてもらいます。
 すると、あら不思議!

 肘はビクともせず、その負荷に楽々耐えられるではありませんか!これを気の存在証明実験とするのはちょっと“気が早すぎます”(笑)


 これにはタネがありまして、述べてきた中にそのヒントが隠されているのですが、お気づきでしょうか?

 

 こういうことです。
 力を入れて全力で抵抗してください、と言われたときに、ヒトは文字通り力を入れてしまいます。
 その力というのは力感を感じやすい屈筋系の筋肉に力を入れるてしまうのです。
 ところが肘を伸ばすのに屈筋は邪魔になるだけで、伸筋(この場合、上腕三頭筋)に力を入れねばなりません。しかし、述べたように腕を伸展させるのに力感はありませんので、力感を感じやすい正反対の働きをする上腕二頭筋に力を込めてしまうという寸法です。(正反対の働きをする筋肉を拮抗筋と言います)


 肘を伸ばすという筋肉よりも肘を曲げるという筋肉に力が入ってしまっているのですから、あっさり肘を曲げられてしまうのは当然の話です。


 そこで、腕に気が通っているイメージとか、指先から光線が出ているイメージせよと指示されると力感がなくなります。つまり、屈筋系(上腕二頭筋)を緊張させることなく、伸展筋のみに力が入る状態になるわけです。
 そして、この上腕三頭筋は力を入れても力感がないために、全く力を込めてもいないのに、負荷に楽々耐えられる・・・凄い!これは気の力だ!という誤解をしてしまう・・・


 さらに例を挙げると、素人にテニスでも卓球でもラケット持たせ素振りさせると振りが遅いですよね。しかもギゴチない。
(テニスや卓球ばかりじゃなく、野球でも剣道でもゴルフでも皆同じです)
 これは肘の例にように不必要な筋、というよりも本来の目的とは反対に働く筋肉(拮抗筋)に力が入ってしまっているからなのです。


 訓練を重ね上級者になってくれば、より早くよりスムーズに振ることができるようになってくるのは、邪魔をする筋肉に力を入れないように身体が覚えてくるからに他なりません。ですから上級者であればあるほど、力を使っていないように見え、それでいて鋭く早いスイングができるわけです。


 上級者でも大舞台では緊張でガチガチになって普段のパフォーマンスが出来ず、あえなく敗退する悲劇が繰り返されますが、熟練者であっても過度の緊張はこのように逆に働く筋肉に力が入るわけです。


 ここまで例を挙げると、当然、施術のコツというものが分かってくるのではないでしょうか。


 施術のときに力を入れるな!とアドバイスするのは力を入れる、つまり力感を感じれば感じるほど、施術に必要な力とは反対に働く筋群を働かせてしまうわけですから、そういうことをするな、と言っているわけで、必要な筋力まで抑制せよ、とは言っていないのです。


『ハイ、肩の力を抜いて、相手にもたれるような気持ちで。こちらから圧すというのではなく、相手に支えてもらうというようなイメージで・・・』などと表現してなんとか拮抗筋に力が入るのを防ごうとする教える側の苦労も分かってほしいものです。場合によってはホントに「指先から癒し光線が出ているイメージでやってください」などと言う場合もあります(人によってはそういう表現では不信感を抱く場合もありますから、表現方法には気を使いますねぇ)

 

 理屈で分からせても身体はその通りに動きませんから、イメージさせることによって自然に不必要な力が抜けていくように誘導していくわけです。


 どのようなイメージをすればピンとくるのか、個性というのがありますから、中々難しいのですが、施術の場数を踏んでいくと、誰でも段々上手くなっていきます。特にスポーツ経験者や格闘技経験者はすでに拮抗筋に力を入れないという訓練が出来ていますから、上達が早い。

 

 そのように不必要な力を入れないで、つまり拮抗筋の力を排除して施術していくと、それだけ筋肉の緊張が少なくなりますので疲労度合いも減少します。が、メリットはそれだけに留まりません。
 施術者自身がリラックスした状態になりますから、フィードバック機能が働き出します。つまり、相手の身体の状態とか、どこまで圧を入れれば良いかとか、そういうことが身体で感じてくるようになります。言葉を変えれば適圧というものが分かってくるのです。もっと施術的な言い方をすると「勁を発することによってツボの底を捉えられるようになる」という表現にもなりましょうか。(勁については対談(→リンク)で詳しく述べております)


 面白いもので、圧の種類も自在に使い分けすることができるようになります。ズシンと芯に響く重たい圧。逆に軽く鋭いが深い圧。邪魔になる筋肉の影響力を排除できるのですから、自由自在になるのは当然でしょう。

 

 さて、ここまで出来てようやく施術家としてのスタートラインに立つことができます(あくまでもスタートラインです。決してゴールではありません)最も重要なことはそのクライアント固有のポイントを見つけることなのですから。


 そして、これをやり遂げるのが難行、苦行であって、ほとんど一生を費やしてもそのレベルには達しない、というのが平均的であったでしょう。


 ときどき、天才が現れて「名人」「達人」の名をほしいままにするというのが、今までのパターンだったのですが、現在ではトリガー体系が発表されているので、ある一定の努力で誰でも名人、達人になることができるようになったのは誠に喜ばしい限りです。


 にも関わらず、そんな努力さえしない、というのは私の理解を超えるので言及はしませんけれども、何十年やっても治療系の施術が出来ない人がいるという事実は、はてな(?)マークが3つくらい頭の中に浮かんできます。


 経験だけで、到達できるのは施術の仕方の巧さだけであって、固有ポイントを見つけ出すには、勉強しなければいけません。
(百年に一人現れる天才なら自得できるのですが、貴方が百年に一人の天才である確率はかなり低い)


 しかしここでいう「勉強」というのは学校の勉強とは違ってとても面白い・・・(はずです)


 なにせヒトの身体の真実の一端を知り得る勉強だからです。
 しかも、それがそのまま実践で役に立つ。役に立って自尊心を満足させ、なおかつ収入に直接結びつく知識を得ることが苦痛であるはずはないのです。


 実はその面白さを知るということ自体が施術のコツでございまして、残念ながら多くの施術者はその面白さを知らないのです。

 勉強の仕方を知らないというか、面白いものだということを教えられていないというか・・・


 というわけで『施術のコツを身に付けた』というのは卓球やテニスやバスケやその他諸々のスポーツ、格闘技、ダンス、舞踏と同じように拮抗筋の邪魔を排除して力感をなくすということと、それが出来たら、クライアントが訴える症状の原因となっている箇所はどこか?つまりその人固有のツボを探し当てる能力を得るということなのです。

 

筋肉の種類の分け方には幾通りもあって、例えば、姿勢筋(抗重力筋ともいう)と相動筋というわけ方も重要なのですが、そこまで言及すると煩雑になって収まりがつかなります。本論では煩雑さを避けるため、あえて単純に伸筋系と屈筋系という分け方をしておりますのでご承知置きください。

 

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