深堀りシリーズ

 

本シリーズは主に当塾卒業生のために執筆したものである。

 

ご承知にように当塾は治療系であることをコンセプトに展開してきた。

まだまだ規模は小さいが、病める人々のQOLを高めるべく、日々活動されている卒業生が少しづつだが、全国規模で増えてきている。主宰者としては大変、嬉しく、また心強く思っている次第である。

 

リフレパシー整体は、そもそも『痛みや不快な症状を如何に軽減させるか?』を命題として体系化したものである。明確な痛みがあれば、トリガーポイント処理、その適応外ならば、按腹やクラニアル、フットマニ(骨盤療法)、場合によっては経絡などを利用するなど、あらゆる手段を用いることによって目的を達成しようとしてきた。幸いなことに、そこに賛同して当塾に入られた卒業生達はその期待に応え、多くの結果を残してくれている。同じ感性を持つ者として、大いに勇気付けられたし、これからも、私を鼓舞し、さらに良いもの、もっと改善効果の高いもの、より多くの人に対応できるものを深めていきたいと思う原動力となっている。

施術家としても、流儀の創始者としても、これ以上、冥利に尽きるものはないと言えるだろう。感謝する他ない。

 

さて、そんな矢先、ご承知のようにコロナ禍に見舞われてしまった。この原稿を書いている時点では、緊急事態宣言は解除されたものの、まだ終息の糸口は見えていない。

 

徒手療法というのは、生身の人間を直に触ることによって成り立つ仕事である。古来より、現在も、そして未来においても、この方法は不変だろう。したがって、濃厚接触を避けるべきとか、ソーシャル・ディスタンスをとるべきだという自粛要請は、モロに我々の仕事を直撃してしまう。

実際、リラクゼーション系の施術所は壊滅的打撃を受けているところもあるという。

 

幸いにして、我々は治療系を標榜して来たが故に、いわゆる「不要不急」扱いとは明確に区別される。『今、痛い、今、なんとかしてほしい』という要請は「不要不急」どころか「有要有急」でさえあろう。

しかし、緊急事態宣言中はその我々さえも例外ではなく、私も含め、多くの仲間達も自粛せざるを得なかったというのが実情である。このこと自体は仕方あるまい。我々だけが被害を受けているわけでもないし、もっと厳しい状況に置かれた業種もある。つまり反省する余地も何もあったものではなく、交通事故におけるもらい事故のようなものだとも言えるからだ。

 

しかし、一度、意識が変わってしまった世の人々はコロナ以後(アフターコロナ)においても、不要不急なものに出費するのを潔し良しとせず、完全に元に戻るというようなことはなくなる可能性がある。したがって、我々は益々、治療系を標榜し、怠ることなく研鑽していかねばならない。そのことこそ、アフター・コロナを生き延びていく最大のファクターとなるに違いないと思うのである。

 

以上のことを踏まえて、元々の治療系であることをさらに進化させ、深化させることによって、治療系整体のエキスパートを育てていきたいという切なる願いから、本シリーズを連載していくことにしたのである。

 

日進月歩の医学的知識の更新を鑑みれば、本拙論は時代と共に陳腐化していく部分もあるかと思う。それでも、自然療法たる徒手療法の考え方は、西洋医学的なモノの考え方とは一線を画し、いやむしろ、医学的な知見が増すにつれて、連綿と続いてきた徒手療法の正当生が補強されてきたという歴史がある。少なくとも筆者は大いに啓発を受け、また自身のやってきたことに自信を持てる経験を幾度となくしてきたのである。したがって、引用する個々の医学的知識が多少古くなったとしても、徒手療法の有効性が年月とともに色褪せるようなことだけはないと信じる。それどころか、医学的な新しい知見が徒手療法の可能性を益々広げるに違いない。

 

最後に本論で取り上げる病態、症状に規則性はないということは述べておきたい。施術上の質問があったり、あるいは、一般公開された記事などで筆者自身が、インスピレーションを得ることによって、都度、表題が決まっていく。

我儘といえば我儘かもしれないが、現在のところ書く”というモチベーションを最大限に刺激してくれるのは、そうした事象があってのことだから、ご了承願うしかないのである。

後世、誰かが分野別に編集してくれかもしれないが、それはそれとして、現状では、ランダムに話題が決まっていくということとなる。是非、ご承知置き願いたい。

 

モートン足