マッサージ器と経絡反応

 マッサージ器会社の営業妨害をするつもりはないが、やり過ぎは何事もよろしくないという事例を一つ。

 

 60歳くらいの男性の施術の時であったと思う。

 首、肩が異常に凝るということであったから、対応する処方を組み立て、施術していった。

 

 まあ、普通に硬い首、肩の筋肉ではあったのだが、極端に酷いというわけでもない・・・しかし、どこか違和感があるのだ・・・単に硬いというのではなく・・・うまく表現できない何かが。その違和感の正体が掴めない。ある種の不全感を持ちながらも施術を続行した。

 

 肩の要所の一つである僧帽筋第1TPの付近を念入りにやっている最中のことであった。

 クライアントが『ああ、もう少し、もう少し』などとつぶやくではないか。(ん?なんだ、もう少しというのは?)
 怪訝に思い、「どうしましたか?、もう少しとは・・・もう少し強めにということですか?」

『そうそう、そうなんだ、もうちょっと強めだと届くような気がするんだ』

 

 私も昨日や今日、この業界に入った人間ではない。
 指に跳ね返ってくる逆反射で、底に達しているかどうかくらいは分かる。どう考えても届いているし、TP形成箇所を的確に捉えている、はずなのだ。


 疑問に思いつつも、もう一段奥に入れることにした。

『いや~いいですねぇ、やっぱり人間の手は・・・そういうところまで、マッサージ器じゃ無理ですからなあ』と突然、話題が変わった。

「ああ、そうですか、マッサージ器はよくご自分でおかけになる?」

『ええ、ほとんど毎日。とにかく若い頃からコリ症だから、マッサージ器を思い切って買ったんですよ。結構いい値段しましたけどね』

「へぇ、そうですか、ほとんど毎日?何年くらいやっているのですか?」

『もう、かれこれ5年くらいになるんじゃないかな』

 

 それを聞いて思い出した。前にも同じような身体の違和感ともいうべき感触を得たことがあって、その人も毎日のようにマッサージ器を使用する習慣があったのだ。

 

 表面はさほどでもなく、奥にある手付かずの何か、とも言えるが、それも的確な表現ではない。一種独特としか言いようのない違和感。カチンカチンに硬くなっている、というところまではいかないのだが、しかし明らかにノーマルではない。ロボットを限りなく人間の皮膚と筋肉の感触に近づけていくと、こういう感じなるのではないかと思われるような、人工的な皮膚感、筋肉感というのが一番近い感触かもしれない。

 

 さて、術者がクライアントに与える副交感反射は、そのまま術者にも跳ね返ってくる。これこそ術者が原始感覚によって感じるクライアントの身体の異常感の正体なのだが、もともとこれは明確に言語で表現できるものではない。

 

 そして、これこそが、クライアントの身体に起きる経絡反応を術者自身で感じる仕組みそのものなのである。

 

 つらつらとそんなことを思いながら施術していると突然閃いた。(そうか、分かった!、この人の身体に経絡反応が感じられないんだ!そうか、そうなんだ。この違和感は経絡反応を自分の身体で感じ取れないものからきているんだ!)分かるときは一瞬にして分かるものだ。

 

 ということは、マッサージ器のかけ過ぎは、経絡反応を起こしづらくするということではないか。

 これを発見したときには、偉大な真理を発見した哲学者にでもなったような気分だったことを覚えている。(今考えると、偉大な真理でも何でもなく、普通一般に言われている、そういう機械的刺激のやり過ぎはよろしくない、という単純な事実の再確認過ぎない)

 

 もちろん、一時的に使用するのはなんら問題ない。事実、施術においてもパーカッション・ハンマーで人工的な刺激を加えることもある。しかし、これは療術的な行為であって、ましてや毎日やるわけではない。つまり“毎日の習慣”で、しかも“何年にもわたる連用”という条件が必要というわけだ。

 

 空港にマッサージチェアがおいてあって、時々利用することがある。(今のマッサージ器チェアはよく出来ているなぁ)と感心すること度々。空港においてあるということは、エコノミー症候群の予防や、解消の為なんだろう。そしてそれは充分にその役目を果たしていると思う。

 

 このようにマッサージ器の役割を決して否定するものではないが、何事も(特に機械的な刺激を)長期連用することはよろしくないわけだ。それは、化学的刺激を長期連用する薬物依存がよろしくないのと同等かもしれない。

 

 もし、自身が充分に練磨されている施術家であると自負し、かつ施術の最中、違和感を感じ続けることがあったなら、それは経絡反応が極端に起きづらくなっている為かもしれない。

 

 相手の経絡反応の有無は術者自身の身体で感じとれるということを理解してほしいと思う。

 

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