連日、猛暑が続くと、ちょっと動いただけで汗がダラダラ、衣服はビジョビジョ。たいした動いてなくても、下着がいつも汗で湿っている・・・この気持ち悪く嫌らしいほどの暑さは日本独特のものなのだろうか(外国に住んだことがないので分からないが、日本の夏を一夏経験した中東の人が、日本の夏は世界で一番過ごしづらい、と述べたそうな)
たしか、昔、学校で日本は温帯地方だと習ったはずたが、どう考えても亜熱帯ではないのか。教科書を勝手に書き変えたくなるくらい夏の暑さは厳しい。
加齢現象なのか、最近、暑さに対する対応力というか適応が上手くいかないような気がする。時々、高齢者が熱中症で亡くなるという痛ましいニュースを見聞きするが、なんだか他人事ではないような・・・・北海道に住んでいて、何をいうか!とお叱りを受けるかもしれないが、ここ旭川は盆地特有の気温の上がり方をする地域である。近くに海でもあれば多少は緩和されると思うのだが・・・もっとも、ホントに暑いというのは一週間かそこらであり、その時期をすぎればあっという間に涼しくなって、夜などはむしろ寒いくらいになる。8月の下旬ならばもう長袖が必要だろう。
そんなことで、内地のあの「猛暑」とか「酷暑」と表現される暑さがないだけマシ。しかし、最盛期はやっぱり暑い。こればかりは誰に文句を言っても仕方がないし、愚痴をいうつもりもないのだが、身体の調子が悪くなって困るのだ。
こういう体質の人は他にもいるのではないだろうか?
汗が出るのでノドが乾く。で、食欲もさほどないから、飲める人は冷たいビール(私はビールは飲まない。ハイボール派である)をゴクゴク。すると胃腸にエライ負担がかかる。ただでさえ食欲がないところにもってきて冷たいお酒でガンガン冷やすと、さらに食欲がなくなる。ところが、あまり食べないでいると、明らかな栄養不足に陥るので、どこかで食べろ!という脳からの指令が出て、ドカ食いなどをしてしまう。するとさらに胃腸に負担がかかって・・・おお、立派な胃腸不調人間の出来上がりではないか。
これにストレスフルなライフスタイルが加わると・・・嗚呼、あまり考えたくない事態だ。致命傷にならなければ良いが。
さて、こういう場合の施術だが、実は良い手がある。
もともとは二日酔い対策の施術なのだが、胃腸(消化器系全般)の機能低下という共通項があるため、夏バテによる不調にもよく効く。
昔から、背中には内臓に直結するツボがあるとされていて、経絡的にいうと膀胱経2ライン上に存在することになっている。背骨寄りの方を一行線、その外側を二行線と呼ぶが、今は現代風に第1ライン、第2ラインと呼ぶことも多い。
さて、そのラインは脊柱起立筋等、筋肉の狭間にあるため、指が収まりやすく、押圧が楽だ。そういうこともあって、このライン(特に第1ライン)は伝統的に「背圧し」の対象になってきた。確かに、押しやすいし、内臓の機能の促進に繋がるので、この部位を外すわけにはいかないだろう。
ところが、内臓機能の低下は筋肉反射を引き起こし、その主な筋群が脊柱起立筋である。つまり、脊柱起立筋の筋腹そのものにアプローチをかけねばならない。流儀によっては筋腹上へのアプローチを禁じているところもあるが、筋腹本体には治療上、重要なトリガーポイントも出来るし、東洋医学的な手技の頂点を極めたと思われる増永指圧でも筋腹上を普通に施術する。故にそれを禁じる正当な理由はなく、単に、施術の難しさから言っているのだろう。
よって、第1ライン、第2ラインは勿論のこと、脊柱起立筋の筋腹(特に最長筋系)を第3ラインとしてしっかり圧を加えるのである。
これだけでも相当に楽になる。こわばった背筋が緩み血行が良くなるのと同時に内臓機能の停滞の原因である交感神経が沈静化される。ということは拮抗関係にある副交感神経が優位となって、より積極的に内臓機能が促進されるのだ。
さらに腹部への施術を行う。
腹膜周辺の表層リンパ流のみならず、内臓本体の深部リンパ流こそが大事である。内臓の機能低下には必ず深部リンパ流の停滞があって、ようは内臓が浮腫んでいる状態に他ならないからである。この解消こそ、日本では古来より「按腹」として伝承されてきた技によってなし得るのだ。
背中からと腹からの両面挟み撃ち作戦みたいなものが、読んでいるだけで効きそうな感じがするだろうと思う(思わない人はへそ曲がりだ・・・へそ曲がりは按腹でも治せない)。
実際に効く。
いつだったか、受講生の面々とついつい楽しい酒であったのか飲み過ぎたことがあった。たまたま、開催場所への泊まり込み講習だったので、翌日、ヘロヘロ・・・二日酔い特有の嘔吐感を伴い、気持ち悪いこと調子悪いこと。(二度と酒なんか飲むものか!)と思ったがこれは毎度のことなのでもう116回目だろうか。
そこで名案。
今日は諸君らに二日酔い時の施術の仕方を伝授しよう!
というわけで上述の施術の仕方を教え「私の身体を献体するので、どうぞ練習してみてください」という顛末に相成った。(それが狙いなのだが)すると、いくつかの手直しはあったが、もともとリフレパの使い手なのですぐに上達して、充分に効かせてくれた。
「ヴぅ~、ぞこだぁ、ぞこぞこ、ぎぐなぁ~ ガァ~、ごぉ~、グゥ~、」一匹のオヤジが唸りながら施術を受けていたのを見て、誰が名付けたか「オヤジの生殺し」施術。
物凄くよく効いた。
ものの20分ほどで、施術前よりも気持ち悪さが半減し、1時間後にほぼ普通と言えるまでに回復していた。二日酔いの主犯であるアセトアルデヒドの急速な分解と排出が行われたのだろう。二日酔いならば一家言を持つ私にして感動を覚えるほどの早い回復ぶりであった。
二日酔いなので施術してくれ!というクライアントはまずいないと思うが、友人に呑みすけが多い施術者は人気者になれると思う。
しかし、これは二日酔い専用の施術ではなく表題にある夏バテからくる胃腸機能低下に顕著な効果があるので、夏バテ解消キャンペーンには充分使える方法論である。勿論、夏バテだけでなく慢性的な不調にも有効だ。
ま、二日酔いに施術を用いるのは本当は邪道かもしれない。飲み過ぎた責任は自分にあるのであるから、甘んじてその苦しみを受けるべきであって、そこから反省が生まれ、自制しようとする意志も働くというものだ。
(116回も同じことを繰り返す無反省な者もいるが・・・)
ともあれ、夏バテ解消キャンペーンには使えるというよりも欠かせない手技であると思う。