たまたま、フリーペーパーで見かけた施術院の広告がありました。申し訳ないのですが、悪い例の見本だと思いましたので、ここに取り上げてみます。
この広告は一行500円という行広告です。ですから、写真等は使えず、文字のみの使用、そして強調黒塗りはできますが、他の色は使えないという条件です。
全部で5行使っておりましたので、全文を引用します。
尚、個人を特定できてしまうところは×印にします
↓ココから
機械を使わない整体!××××
日頃のコリをほぐします。60分2000円
女性専用です。お気軽にお電話ください。
要予約 0×0-00××ー××00
住所××ーーーー定休土日祝日
↑ココまで
全部で2500円の広告です。いくら安いからといってもこれでは・・・いかがなものでしょうか?
この広告主はウリが三つあると思っているようです。
一つは機械を使わない整体であるということ。
一つは60分2000円という常識破りの安い価格。
そして、もう一つは女性専用であるということ。
少し分析してみましょうか。
まず、機械を使わない整体がウリになるとは思いませんね。
機械を使うほうが珍しいですもの。
これは多分の次のウリへの伏線なんでしょう。
つまり60分で2000円という破格値。
2000円にも関わらず、機械を使わないで手だけやっているよ!ということが言いたいのでしょう。
続いて、女性専用とあります。
この施術者は男なのでしょうか、女なのでしょうか。
これは逆に警戒しますよ。
男がやっているのに女性専用じゃ、危なくてとても行けません。
多分、女性施術者だと思うのですが、その旨の文言を入れないとダメです。
結局、60分で2000円というとてもつもない安さを伝えるだけになっています。
安いというのは確かに魅力ですよね。しかしこの仕事は安ければ良いというものでしょうか?
2000円出して楽にならない施術と、4000円で楽になる施術ならどっちを選びますか?
時間つぶしじゃないわけですから・・・答えは決まっていますよね。
土日祝日が休みということなので、家庭の主婦か、もしくはその曜日は温泉場等の歩合施術をやっている人かどっちかでしょう。
一人でもくれば儲けもの!みたいな感覚だということがミエミエな宣伝ですし、安さ以外に伝えられるものがないようです。
つづいて
これはおそらく何人か来て、ウデが確かなら、固定客を増やすことができるかもしれないと思う宣伝が同じフリーペーパー誌の広告で載っていました。
これも全文引用してご紹介しましょう。
↓ココから
五十肩、腰痛、坐骨神経痛 、酷い頭痛
痛みで夜も眠れない方!辛くても我慢している方
20年の実績。ここなら安心 3500円~
0×0-00××-××00××××整体院
住所ーーーーーーーー不定休
↑ココまで
同じ、5行広告で費用は2500円です。
この広告主は完全にターゲットを絞っていますよね。
自分の属している業界の事情をよく知っているのでしょう。
確かに、漠然と「肩こり」や「癒し」を謳っても、読み流されるのがオチです。
ところが、ここでは具体的に「五十肩」「腰痛」「坐骨神経痛」「酷い頭痛」と太文字で訴求しています。
逆にいうとそれ以外の顧客は捨てていることになるわけです。
私の経験で分かるのですが、上記の四つの症状にホントに対応できる施術者なら、肩こりはいうに及ばず、相当に広い範囲のクライアントに対応できるはずです。ところが、四つに絞っている・・・
少なくとも、このような行広告ではこの方法は正解です。文字制限の中で、あれもこれもと入れるわけにはいかず、あえてやろうとすると総花的になってしまい、全く訴求効果がなくなります。
しかも、「痛みで夜も眠れない方!辛くとも我慢している方」とあります。
私も五十肩で眠りを妨げられたことがあるのですが、あれはホントにツライものです。
もしその頃の私なら、この広告に接したとき、目が釘付けになったことでしょう。
我慢したくなくても、我慢せざるを得ない状況ですから、連絡してみる非常に強い動機が生まれることになりますね 。
勿論、五十肩、腰痛、坐骨神経痛や頭痛持ちでもない人にとってはなんの意味もない文言が並んでいるに過ぎません。
しかし、それで悩んでいる人の目には突き刺さってくるようなインパクトがあるわけです。
ただし、この広告は誰でも使えるわけではありませんね。
すくなくとも、このような症状を実際に高い確率で改善することができる技量が要求されます。(全く歯が立たないんじゃ詐欺みたいなものですから)
ビジネスセンスと施術技術の融合というか、両輪の関係というのはこういうことをいうのです。
不調を改善させる技術を持っていて、尚かつマーケットを理解して適切なコピーライティングができれば、その人の成功は約束されたようなものです。
この広告主は多分、成功されているでしょう(ウデが確かなら)
※このフリーペーパーは大手新聞社系列のもので配布数は約10万世帯。
大手系ですから、使う文言にはウルサイものです。具体的な症状を述べていますが、それが治るなんて一言も言っていません。法的問題やマスコミ広告の自主規制をクリアしています。短い文面ですが、長年のノウハウが蓄積されていることがよく分かります。