近年、日本において、その症状がこれほど激烈で過酷にも関わらず、これほど理解が遅れ、認知されなかった病気もあまりないのではないでしょうか。
健康保険適用は2010年に為されたばかりで、難病指定さえされていません。
線維筋痛症の診断のガイドラインは一応ありますが、整体療法からの立場から言わせて頂ければ2種類あります。
一つは真性の線維筋痛症で、特長は筋肉が柔らかく、触った感じがまるで凝っているような感じがしないもの、それでいて、本人は関節の動きが悪くなっているような感覚を覚えますから、身体が硬い感じだと訴えます。診断基準(圧痛点一致度が高い)にも見事に当てハマリ、症状も重症化しやすいタイプです。
もう一つのタイプは、術者が触ると明らかに身体のコリに触れ、まさに物理的に硬い、という感じがするもので、これを擬性線維筋痛症と呼びます(幼生線維筋痛症と呼ぶこともありますが)。
整体療法が功を奏しやすいのは後者のタイプです。
なぜなら、後者は同時多発的トリガー・ポイント活性化症候群とも呼び替えても良いくらいにトリガー活性があるからです。
痛みの度合いは真性線維筋痛症に勝るとも劣るものではありませんが、ピーク時から数年で痛みが半減するという特長を持っています。
ところが、それ以降の痛みの軽減が為されず、完治するということが稀です。また仮面ウツ様な症状やパニック障害などを併発します。
前者(真性)も後者(擬性)にも共通するのは頭蓋の動きが感じられない、つまり自然自発的な脳の膨張と収縮が不規則であるということです。そのことによって、痛みのエネルギーが解放されず、内部に蓄積されていくわけですから、頭蓋骨へのアプローチが欠かせません(クラニアル・マニピュレーションという手技を用います)
また治験において抗精神薬が処方されたように、精神的な問題からもこの症状が引き起こされていると考えられています。
我々は薬の処方はできませんが(またしたくもありませんが)、その代わり、整体的に「感情の座」と言われている胸骨の解放をもって感情の乱れに対応していきます。
前者(真性)は後者(幼生)よりも治しづらいのですが、諦めることはありません。少し時間がかかるととは思いますが、必ず、痛みが緩和して完治に至るでしょう。
真性か擬性かの判定はあくまで整体的なアプローチの中で判断するものですから、正式な医学用語ではありませんし、ましてや医師ができるものではありません。
いずれにしても、この線維筋痛症はクラニアル・マニピュレーション(頭蓋療法)や胸骨解放、或いは按腹という特殊で繊細な手技が必要となる病態です。
これが出来る整体院は日本でも少数派でしょう。