瞑眩反応のクラス・カテゴリー

 瞑眩反応。
「めいげんはんのう」or「メンケンはんのう」とも読む東洋医学における治癒反応の呼称である。


 他にそれに類する呼び方は一般的に「好転反応」などともいうが、瞑眩反応ほど深刻な場合を想定しているものではない。
(やけどの後、皮膚の再生の時に痒くなる程度の軽い意味合い)

 

 その他、様々な流派において独自の呼び名を付けているようだ。しかし瞑眩反応という呼称には2000年に及ぶ東洋医学の英知が集積されており、その重厚な語感の響きと共に、苦心を重ねた先人たちの労苦が偲ばれる。故にこればかりは独自に造語したり、他の呼称を用いる気にはなれない。

 

 ともあれ、この瞑眩反応には当然ながら、軽いものから、かなり重いものまである。そこで、今後の施術の指標にして頂きたいという趣旨から全部で5つのクラスにざっくりと大別してみた。参考になるのではないかと思う。

 

 少なくとも、実際に瞑眩反応が出たクライアントに出くわした場合に狼狽しないで済むのではなかろうか。

 

カテゴリー1
術後まもなくor翌日あたりから気怠さや眠気を感じる。また、原症状が若干憎悪されるかもしれない。翌日or翌々日には治まっていることが多い。

 

カテゴリー2
翌日くらいから本格的な身体の怠さを感じは始め、原症状の憎悪と共に2~3日ほど続く。

 

カテゴリー3
身体の怠さや原症状の憎悪はもとより、加えて※未病転換現象が起きる。 約1週間ほど続く。

 

カテゴリ-4
カテゴリー3の状態がもっと強く現れ、その状態が2週間ほど続く。

 

カテゴリー5
フルフォード博士が「10トントラックに轢かれるくらいの・・」と表現したクラス。原症状の憎悪や※未病転換現象が極端に出現し、場合によっては仕事や日常的な作業が不能となり、終日、横になって過ごさねばならない。
最長で1~3週間ほど続くこともある。

 

※未病転換現象=将来起こるであろう病の症状が先取りする形で現れる現象。重病を得る予定のものを軽く受けるわけだから、歓迎すべき現象ではあるが、その症状は辛い場合がある。

 

※実はカテゴリー6というのもある。漢方の歴史の中では仮死状態にまで陥った者の言い伝えがある。しかし、これは、漢方が内服であるということと、担当した医師が「瞑眩出ずんば治さじ」とまで言った天才漢方医、吉益東洞であったことから、極めて稀な現象だと言えるだろう。したがって、手技療法におけるカテゴリー6はない、と考えて差し支えない。


 以上。
 ただし、人間の身体は多様である。きっちりとそのカテゴリーに収まるものではない場合もある。たとえば、軽い我慢できる程度の気怠さが数日ではなく1週間、2週間続くこともあろう(実際、経験した)。あるいは激烈な瞑眩反応が出たが、わずか数日ですっかり脱出する場合もある(これも経験した)。

 

 このように、述べてきたクラス分けは機械的な弁別法ではない。要は、様々な観点から考えて自分が正しいと思う施術を行っていて、かつ起きる現象について「瞑眩反応である」と正しく判断できる力量を養ってほしいということである。

 

 したがって、診断もなしにボキボキ、バキバキと骨を鳴らす施術や、やみくもに強揉みする施術の結果については、瞑眩反応ではない可能性が高いので、瞑眩カテゴリー理論を悪用しないでほしいものだ。

 

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